「強化磁器」という言葉は、日常ではあまり耳にしないかもしれません。一般的な食器とは、どのような点が異なるのでしょうか。
強化磁器の特徴や試験について解説します。
「強化磁器」とは、家庭で使うような一般磁器を強くし、割れにくくしたものです。
現在は、アルミナを混ぜて強化しているものが主流となっています。
ただし、原料の管理、素地と釉薬の相性によって同じ「アルミナを含む強化磁器」でも強さ、割れにくさには差があります。
強化磁器自主基準ガイドライン
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素材自体の強さを表す「素材強度(曲げ強度)」と、製品そのものの強度を表す「製品強度(衝撃強度)」の2種類があります。
試料の単位寸法あたりで計算して得られる強さで、食器の形や厚み、大きさ等に左右されない素材自体の強さです。
曲げ強度試験(JCRS 203-1996準拠)
曲げ強度値は同じ材料、製法で作った製品であればほぼ変わりません。
ただし、製品の形状によっては僅かに釉薬の厚み等が変化し曲げ強度値に影響するため、土から成形した試験体で測定した曲げ強度を素材曲げ強度、製品から切り出した試験体で測定した曲げ強度を製品曲げ強度と呼んで区別しています。
製品そのものの強度を表します。
食器の形や厚み、大きさ等に左右されます。
衝撃強度試験(ASTM-C368-88準拠)
食器の使用中に、有害物質である鉛、カドミウムが溶け出すことがないか確かめる試験です。
食品衛生法では、溶出試験にて鉛、カドミウムの溶け出す量が以下の規定値を満たす食器は、使用しても問題がないとしています※1
※試験結果の「検出せず」は、分析器の検出限界であるカドミウム0.01㎍/ml、鉛0.1㎍/ml以下の濃度であるという意味です。
更に小さな濃度まで検出できる装置でなら鉛、カドミウムが検出できる可能性があるため0㎍/mlという表示にはなりませんが、ほとんどの食器の容量は1.1l未満であるため、その規定値であるカドミウム0.5㎍/ml、鉛2㎍/mlと比較して十分小さい値といえます。
食器は、温度が変化することにより、僅かに膨らんだり縮んだりします。
急激に大きな温度変化があると、食器も急激に膨らんだり縮んだりすることになり、その衝撃で食器にヒビが入ったり、割れたりすることがあります。
急冷試験によって、食器がどの程度の温度変化があっても問題なく使用できるかを確かめることができます。